皆様は夜ぐっすり眠れていますか?日本人は世界の中でも最も睡眠時間の少ないことが知られており、不眠症などの睡眠障害に悩む人も多くいらっしゃいます。脳の重要な機能の1つとして睡眠と覚醒をコントロールすることがあげられますが、未だにこの詳細な機構は明らかにされていません。睡眠や覚醒に関わる神経伝達物質(神経細胞と神経細胞との情報のやり取りを媒介する物質の総称)として神経ペプチドに着目しており、その中でも特にニューロテンシンやガラニン、メラニン凝集ホルモンなどに注目しています。これらの機能を明確に示すことにより、睡眠と覚醒を制御する新たな機構を解明し、この知見に基づいて不眠症や過眠症、さらには神経変性疾患などへの治療へと応用していきたいと考えています。
研究手法としては遺伝子改変動物を用いた実験やアデノ随伴ウイルスによる遺伝子操作、DREADDsと呼ばれる薬理遺伝学的手法、光遺伝学的手法、ファイバーフォトメトリー等を用いて実施していきます。これらの研究手法や睡眠/覚醒の研究、創薬研究に興味のある方は是非ご連絡ください。
参考文献
Naganuma F, Nakamura T, Kuroyanagi H, Tanaka M, Yoshikawa T, Yanai K, Okamura N. Chemogenetic modulation of histaminergic neurons in the tuberomamillary nucleus alters territorial aggression and wakefulness. Sci Rep. 2021; 11: 17935.
Naganuma F, Kroeger D, Bandaru SS, Absi G, Madara JC, Vetrivelan R. Lateral hypothalamic neurotensin neurons promote arousal and hyperthermia. PLoS Biol. 2019; 17: e3000172.
Naganuma F, Bandaru SS, Absi G, Chee MJ, Vetrivelan R. Melanin-concentrating hormone neurons promote rapid eye movement sleep independent of glutamate release. Brain Struct Funct. 2019; 224: 99-110.
Naganuma F, Bandaru SS, Absi G, Mahoney CE, Scammell TE, Vetrivelan R. Melanin-concentrating hormone neurons contribute to dysregulation of rapid eye movement sleep in narcolepsy. Neurobiol Dis. 2018; 120: 12-20.