神経薬理学教室 教授 吉川雄朗

北海道大学大学院医学研究院神経薬理学教室のホームページにご来訪いただき、ありがとうございます。

この度、令和5年5月1日付で北海道大学大学院医学研究院薬理学分野神経薬理学教室の教授を拝命した吉川雄朗と申します。当教室は1922年に開設され、第6代教授として小生が着任しました(下表:教室沿革参照)。100年以上にわたり薬理学の研究及び教育に多大な貢献をしてきた教室を主宰することとなり、非常に光栄に感じております。

私は2002年に東北大学医学部医学科を卒業し、福島県の太田西ノ内病院で内科系の臨床研修医として勤務いたしました。その後は東北大学大学院医学系研究科の博士課程に進学し、岡本宏先生のご指導下で膵β細胞のインスリン分泌機構に関する生化学研究を行い、医学博士を取得しました。2009年に東北大学大学院医学系研究科に着任してからは谷内一彦先生および加藤幸成先生が主宰する教室で薬理学研究に専念しております。また短期間ではありますが、2011年に米国サンディエゴにあるSanford-Burnham Medical Research Instituteに留学し、ヘパラン硫酸を対象とした糖鎖生物学について勉強させていただきました。

研究は主に脳内ヒスタミンを研究対象として行っています。特に神経終末から放出されたヒスタミンがどのようなメカニズムで不活化されるのか、というヒスタミン除去機構に着目してin vitroおよびin vivoの両面から薬理学研究を進めております。その中でヒスタミン代謝酵素であるHNMTの重要性を示すことができ、またHNMTを阻害することで覚醒作用などが得られ、脳機能が活性化することもわかってきました。現在はBINDS(創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム)などから支援を受けて、新たなHNNT阻害薬の創薬を進めております。この創薬により過眠症などに対して新たな治療薬を開発することを目標に睡眠研究に取り組んでいます。また米国で学んだ糖鎖研究も引き続き行います。薬理学教育についてはアクティブラーニングを導入しながら、薬物治療に必要な思考能力や問題解決力を滋養していきたいと考えています。

神経薬理学教室、そして北海道大学のために精一杯尽力して参りますので、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

教室沿革


1922年(大正11年) 薬理学講座開講(初代教授 三輪誠 就任)
1934年(昭和9年) 二代教授 真崎健夫 就任
1957年(昭和32年) 三代教授 田邊恒義 就任
1975年(昭和50年) 四代教授 齋藤秀哉 就任
1976年(昭和52年) 薬理学第1講座に改称
1997年(平成9年) 五代教授 吉岡充弘 就任
2017年(平成29年) 神経薬理学教室に改称
2023年(令和5年) 六代教授 吉川雄朗 就任
北大医学部100周年記念誌より